感動を呼ぶ印刷物を作成する(2/2)

2021-04-15 :MGIケーススタディ紹介(NAPCO Researchのレポート引用)

加飾印刷の多様な用途と機会

カラーインク社は、デジタル加飾機能を使用して、人目を引くディスプレイ、小道具、プロトタイプ、紙器、ダイレクトメール等を作成しています。 カラーインク社のデジタル加飾活用能力は、葉巻、スピリッツ、ビール、ワインを祝うイベントであるミルウォーキーの最近のBrew City Cigar Festivalでフルに活用・展示されました。 このイベント用に、同社は、ポスター・チラシ、ダイレクトメール、看板、バナーなど、印刷物の包括的なパッケージを販売および作成しました。 展示ベンダー向けのディスプレイテーブルも作成しました。

写真映えする3D小道具

カラーインク社はフェスティバル用に、写真映えのする立体小道具(図3)という変わった印刷物も制作しました。 同社が作成したのは、フェスティバルの観客が一緒に写真を撮ることができるジャンボ葉巻です。 マイスナー氏は、「本物みたいな葉巻を作る方法をクリエイティブに考えなければならなかったので、特に箔とコーティングで加飾した高級感のある葉巻バンドを作ろうと考えました」と振り返ります。

カラーインク社は、小森Impremia IS29枚葉UVインクジェットプレスで葉巻バンドを印刷し、MGI JETvarnishを使ってスポットUVコーティングと箔を施しました。 小道具の葉巻はわずか3本しか作りませんでしたが、従来の方法では費用対効果が悪くこのようなことはできませんでした。マイスナー氏によると、デジタル印刷とデジタル箔を組み合わせることで、写真の小道具やディスプレイを作成する機会の他に、パッケージデザイン会社向けのプロトタイプパッケージや消費者パッケージ制作の可能性も広がっている、と語っています。

図3: Brew City Cigar祭用に作成された映える小道具

Color Ink事例3
Jumbo cigar prop with digitally printed, foiled, and coated band.
Color Ink事例4

Jumbo cigar prop with digitally printed, foiled, and coated band.

未開拓市場:POPパッケージ

デジタル印刷とデジタル加飾によって可能になったもう1つのアプリケーション領域は、POPパッケージです。 カラーインク社は、新製品の発売に向けた小ロットのPOPパッケージの作成に販売機会を見出しました。 新製品を発売するブランドは、多くの場合、それらの製品を洗練されたデザインのプロモーションボックスに入れようとします。 カラーインク社は、高度に加飾されたサンプルボックスを含めた50〜100個の小ロットでの新製品販売キットの提供にも乗り出しました。

マイスナー氏は、POPパッケージを印刷業者にとって「未開拓の市場」と呼んでいます。 「特に加飾と仕上げの面でのデジタル技術の進歩により、10年または15年前よりもはるかに多くのことができるようになりました」と彼は言っています。

手触りを感じる紙器(紙箱・化粧箱)

カラーインク社は、15年前に紙器を製品ラインナップに加えました。 最近では、多種多様なスポーツリカバリー製品を製造している顧客が、4色で印刷した箱をデジタルで印刷しMGI JETvarnishでスポットUVコーティングを施した箱に移行しました。マイスナー氏によると、このクライアントが顧客フォーカスグループ(マーケティング調査)を実施したところ、パッケージに盛り上がったコーティングを施すと効果が上がることがわかったそうです。 彼は、「クライアントは、箱にデジタルスポットコーティングを施す費用の効果を検証するために、かなりの調査を行いました」と報告しています。

ダイレクトメール

印刷の加飾機能から利益を得られるもう1つのアプリケーション領域は、ダイレクトメールです。カラーインク社では小売店の顧客向けにかなりの量のロイヤルティマーケティング資料を作成していると、マイスナー氏は言っています。 彼は、ダイレクトメールを効果的にできる多くの加飾方法があると言います。

またマイスナー氏はダイレクトメールおよびその他の印刷アプリケーションの加飾に際し、印刷ロットについては間違った神話があるといっています。マイスナー氏は、「デジタル加飾はごく少量のみを対象としており、大量に行うのは費用対効果が悪いという誤解がある」と言っています。

デジタル印刷の加飾により、カラーインク社が提供するすべての印刷アプリケーションを人々の注目を集め、人目を引くものに変えることができる。

加飾印刷の導入

社内で加飾印刷を始める前に、同社は箔押し、エンボス加工、特殊ラミネートなど、さまざまな種類の加飾印刷を外注していました。加飾印刷を外部に委託することは、設備やスタッフに投資することなくこれらのサービスを提供できるため、多くの印刷会社で一般的に行われています。NAPCOリサーチによるデジタル印刷への付加価値調査によると、印刷プロバイダーの回答者は、コーティングおよび箔押しの多くを他の業者に外注していると報告しています。外注することにより、企業は顧客により多くのサービスを提供でき、また加飾工程を社内に持ち込む前にそのサービス概要を学ぶことができます。外注のもう1つの理由は、デジタル加飾印刷機が利用可能になる前は、印刷物に特殊効果の加飾を施すのは複雑で、時間がかかり、しばしば高価なプロセスだったことです。

カラーインク社は、MGI Jet Varnishへの投資により、社内で加飾するオプションが使えるようになりました。デジタル加飾機はプレート、スクリーン、または型を必要とせず、インクジェット印刷ヘッドを使用して、テクスチャ感や立体感、および箔押しの効果を提供します。

マイスナー氏によると、社内で加飾サービスを提供できるようになったのはデジタル印刷技術の革新のお陰です。彼は、「以前は外部委託しなければなりませんでしたが、MGI JETvarnishがあれば、社内でデジタル的に部分ニスコートや箔押しを行うことができます。 MGIを使用することで、以前は自社に能力が無く、またこれまで外注でもできなかった独自の処理を実行できるようになりました。さらに、印刷物に価値と視覚訴求力を加えるソリューションを、手頃な価格で顧客に提供することができるようになりました」と言っています。

オープンハウス(展示会)でいろいろな可能性を見せる

MGI JETvarnishを設置した後、カラーインク社は顧客と見込み客向けのオープンハウス(展示会)イベントを開催しました。 カラーインク社は、この設備が印刷に関して無限の想像力を掻き立てるアイデアを提供すると信じていたため、イベントに映画のウィリーウォンカのテーマを選択しました。映画「チャーリーとチョコレート工場」では、主人公のウォンカが「純粋な想像力」という題名の歌を歌います。映画と同様に、カラーインク社では金色のチケットでお客様を施設に招待しました(図4)。

カラーインク社は印刷機能を使用して、ショップをウィリーウォンカの工場のように再現しました。訪問者は炭酸飲料やキャンディーを手に入れることができ、スロットマシンをプレイすると勝者がウォンカバーを受け取ることができました。カラーインク社はその加飾機能だけでなく、大判プリンターの印刷機能と印刷物に関するいろいろな工夫を施設全体で披露しました。

「私たちはこのイベントを使って、紙にインクを塗るだけでなく、視覚的で魔法のようなさまざまなソリューションを提供できることを伝えたいと思いました」とマイスナー氏は語りました。

全体的にみてオープンハウスは大成功であり、参加者の反応は「圧倒的にポジティブ」だったとマイスナー氏は報告しています。オープンハウスでは、新しい顧客を呼び込むことができ、また既存顧客には以前は知らなかった製品を紹介することができ、これらにより、今までの顧客関係を大いに拡大することができたとマイスナー氏は言っています。

図4: MGI JETvarnish オープンハウスイベントで印刷された資料

Color Ink事例5
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イベント中に印刷された「ゴールデンチケット」オープンハウスの招待状とサンプルは、Color InkのMGI JETvarnishの加飾機能を紹介しています。

オープンハウスのイベントや印刷サンプル提供を通じて顧客と見込み客を教育することで、顧客の購買決定に大きな影響を与えることができます。 NAPCO リサーチのデジタル印刷への付加価値調査に参加しているブランドオーナーとマーケティング担当者は、印刷物を加飾するための技術革新とオプションについての情報を積極的に提供しているプロバイダーを高く評価していると回答しています。 調査対象のすべてのバイヤーセグメント(パッケージ印刷、サインとディスプレイグラフィックス、商業印刷)で、ブランドオーナー/マーケティング担当者は、プロバイダーが新しい技術と特殊効果について教育することが非常に重要であると回答しています。

お客様にわかってもらう努力

NAPCO リサーチの調査によると、デジタル印刷への加飾に対する理解には印刷業者とマーケティング担当者の知識にギャップがあります。 カラーインク社は、デジタルデバイスで生成される特殊効果の価値について市場と印刷のバイヤーを教育することを目指して、米国印刷産業協会(PIA)業界団体の関連会社であるGreat Lakes Graphics Association(GLGA)と協力しました。 大手テクノロジーベンダーとともに、彼らの施設で「ColorUp デジタルブートキャンプ」と呼ばれる教育イベントを開催しました。 このイベントの焦点は、デジタル技術とその応用を促進し、他の印刷会社のデジタル変革の取り組みを支援することでした。

ブートキャンプのアイデアは、マイスナー氏とGLGAの社長であるジョーライマンとの昼食会から生まれました。二人とも、印刷工場で開催されるイベントで、参加者が経験豊富な印刷オーナーから「深く掘り下げて」学ぶことができれば、大きな成功を収めることができると考えたのです。

3日間にわたって開催された第1回目のイベントでは、実際の生産環境でさまざまなデジタル印刷および仕上げのオプションが紹介されました。ブートキャンプでは、業界の専門家がデジタル制作、印刷と加飾、機器の選択、実装のベストプラクティス、および成功する販売方法を理解するのに役立つセッションが行われました。

図5: カラーインクがデジタル印刷ブートキャンプを開催

Color Ink事例7

他の印刷業者を教育する理由を聞かれたマイスナー氏は次のように述べています。 「私たちの仲間がこの技術を信じ、その利点について市場にポジティブなメッセージを送る必要があります。 同業者全員がこの技術でできることとそれによる機会について統一されたメッセージを市場に送れば、私たち全員が勝ちます。」

マイスナー氏は、デジタル印刷には限界がありコストが高くつくという「神話」が顧客に浸透してしまうと誰の利益にもならない、と言っています。そのため、デジタル技術とその利点について、同業者とその印刷物を購入するお客様に、認識を新たにしてもらうことが不可欠であると彼は信じています。

「私たちの経験では、印刷技術に関してデジタルという用語を使うときは、いつでも多くの顧客はそれがネガティブだと考えています。 多くの人はデジタルは低品質で小ロット印刷用だと考えています。その間違った認識と戦うための重要な戦略は、同業他社、そして必要ならば競合他社にさえ、デジタル印刷と加飾で近年どのような新しい技術が利用可能になっているかについてわかってもらうことです。」

このブートキャンプはGLGAとカラーインク社の毎年の恒例行事となっていますが、その目的は、今日の技術が可能とすることや、デジタル印刷と加飾機能が提供するメリット、そして将来のトレンドに関して、印刷業者とその顧客が同じ認識を持つことにあります。

デジタル印刷の限界に関する間違った神話は、市場の現実に置き換える必要があります。

カラーインク社が主催するもう1つのGLGAイベントは、印刷物バイヤーとデザイナーを対象とした「PowerUp Creative Print Symposium」です。 このイベントの目的は、印刷と後処理の機器を実際に体験することであり、印刷業者とのコラボレーション環境を育むことです。 イベントで取り上げられた教育上のポイントには次のものがあります。

•            デジタル印刷とオフセット印刷との品質比較、どのような時にそれぞれの方法を使用すべきか。

•            「デジタル加飾」とは何ですか?それらの実用的な用途は何ですか?

•            デジタル機器用に異なるファイルを準備する必要がありますか?

•            デジタル印刷技術に関連する課題は何ですか?

結論

技術とマーケティングへの堅実な投資に基づいて事業を発展させてきたカラーインク社の長い歴史は、絶え間なく変化する業界においても同社を成功する会社に押し上げました。 同社はNAPCO Mediaの印刷インプレッション誌により、「イノベーターオブザイヤー」に選ばれました。今回の受賞は、競争環境や顧客市場の変化に対応して、戦略的に事業を進化・多様化させてきたことが評価されたものです。カラーインク社が最近力を入れているデジタル印刷の加飾という革新的な提案は、多くの新しい印刷機会と顧客機会を切り開き、絶えず変化する牧草地で会社が「変わった色の牛」であり続けることを可能にしています。

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