日本の印刷会社 研文社が、葛飾北斎の浮世絵木版画「神奈川沖浪裏」をデジタル印刷・デジタル加飾で見事に表現しました。

2022-03-24 :MGI事例紹介(インタビュー記事)

デジタル加飾印刷により日本の伝統美に美しいきらめきと、立体感、遠近感を加えたこの作品は、米国の箔&特殊効果協会 (FSEA)が主催する2022年度Gold Leaf Awardsに出品されました。

株式会社 研文社概要

所在地:日本 東京都新宿区

業種: 商業印刷

設立: 1946年

従業員:220人

MGI JETvarnish 3DL設置

:2020年10月

「神奈川沖浪裏」Thirty-six Views of Mount Fuji: The Great Wave off Kanagawa

葛飾北斎(1760-1849)が制作し、「富嶽三十六景」シリーズとして発表した、日本を代表する美術品のひとつ「神奈川沖浪裏」。ゴッホをはじめとする印象派の画家たちに影響を与えたこの作品は、日本で浮世絵と呼ばれる版画です。浮世絵は江戸時代(1603〜1863)の庶民の身近な文化であったため、当時はこの波の絵が大量に刷られていました。現在、世界には約100枚のオリジナル版画が現存しています。ボストン美術館、シカゴ美術館、議会図書館、メトロポリタン美術館、ロサンゼルス郡立美術館、ミネアポリス美術館など、アメリカの美術館や図書館も「神奈川沖浪裏」の版画を所蔵しています。メトロポリタン美術館では、特別展で貸し出される場合を除き、いつでも作品を見ることができます。

研文社による『神奈川沖波裏』の表現

研文社事例紹介12

研文社では「もし北斎が箔やニスのデジタルプリントに出会っていたら・・・」、そんな仮設に従って、北斎の代表作『神奈川沖波裏』(Thirty-six Views of Mount Fuji: The Great Wave off Kanagawa)に、箔やニスの加飾を施しました。

この作品で北斎は2種類の青で波の躍動感を表現しました。日本の伝統色「藍」と西洋から伝えられて間もない「ラスピラズリ」です。今回、研文社ではラスピラズリの代わりに「青箔」を採用し、青い波の濃淡と陰影を際立たせました。

第2点は、近くの波、遠くの波、波飛沫をニスの厚さを変えることで表現しました。これにより、オリジナルが持つ絵の遠近感をさらに強調することに成功しました。

研文社事例紹介11

印刷機:ImpremiaIS29

加飾機:JETvernish3D    

使用箔・ニス:青箔・ニス

印刷用紙:ヴァンヌーボVG スノーホワイト

仕上がりサイズ:257mm × 379mm

伝統の木版画と最新デジタル技術の融合

研文社は『神奈川沖波裏』のデジタル表現にあたり、伝統の木版画を作り続けている工房からのデータに、華麗なデジタル表現を同社独自の「DIGIDECOR デジデコール」の技術で融合させることで、この作品を完成させました。

Gold Leaf Awardsについて

米国の箔&特殊効果協会 (FSEA)は毎年、印刷、紙器、グリーティングカード、製本の各業界の企業を対象に、箔や特殊効果で優れた印刷加工作品を募集・審査し優秀作品をGold Leaf Awards受賞作品として発表しています。この賞は印刷加工の中でも最も優れたものを表彰する業界標準となっています。

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