日本印刷技術協会(JAGAT)が「デジタル加飾の最新動向とユーザー事例」をテーマにオンラインセミナーを実施しました。

2022-06-02:デジタル加飾業界情報(JAGATセミナー) 

デジタル加飾機のベンダー各社およびユーザーの立場からのお話しと、ディスカッションを通じてデジタル加飾の可能性や課題について考察する貴重な機会となりました。

デジタル加飾の最新動向とユーザー事例

JAGAT(日本印刷技術協会)はインクジェット技術によってスポットのニス加工や箔押し、透明厚盛などをおこなうデジタル加飾に注目し、「デジタル加飾の最新動向とユーザー事例」をテーマにオンラインセミナーを2022年5月17日に開催しました。

[講演内容]

1)デュプロの最新デジタルUVコーター・ソリューション

・デュプロ(株)営業推進本部 部長         松浦 敏昭 氏

2)デジタル加飾システム「JETvarnish」「AccurioShine 101」と事例

・コニカミノルタジャパン(株)

プロフェッショナルプリント事業部 部長 小山 直仁氏, 商品戦略部 三浦 知津子 氏

JETvernishユーザー:(株)研文社 デジタルオンデマンドセンター長 吉原 洋平太 氏

3)SCODIXのデジタル加飾ソリューションと事例

・(有)ゲイン 杉山 伸一 氏

・(株)将之介商店 杉山 将之介 氏

・日本製図器工業(株) 営業推進部 マネージャー 船山 幸子 氏

Scodixユーザー:白山印刷(株)イノベーション推進部 部長 田辺 友浩 氏

4)質疑・ディスカッション(株)研文社、白山印刷(株)

以下に講演内容の一部を紹介します。

デュプロの最新デジタルUVコーター・ソリューション

デュプロ(株)松浦氏から、触れたくなる高級感を実現するデジタルスポットUVニスコーターDDC-810の紹介がありました。またB2の用紙サイズに対応し、箔加飾機オプションのある新製品DDC-8000も紹介されました。海外ベンダーが多いデジタル加飾機の中でデュプロ製品は安心・安全のMade in Japanです。

デジタル加飾システム「JETvarnish」「AccurioShine 101」と事例

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コニカミノルタジャパン(株)の小山氏と三浦氏から、全世界で700台の販売実績のあるデジタル加飾機JETvarnishの紹介がありました。また同システムでの加飾サービスを「プレミアムハイタッチ」とブランド化して印刷物への加飾を行うと共に、オリジナル婚姻届を企画制作し、WEBサイト「婚姻届Labo」にて販売している島津印刷株式会社の事例や、「リアリティ」「高級感」「日本らしさ」で海外でも販路を拡大している株式会社MIZKIデザインオフィスの加飾加工した紙製品「オリガミサムライ」の事例紹介がありました。

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また簡易デジタル加飾機AccurioShine101の紹介と、このシステムを「きらめき箔」とブランディングし、新規案件獲得に活用している株式会社国府印刷の事例紹介がありました。

JETvernishユーザー事例:(株)研文社

研文社 吉原氏から、紙の印刷物の価値を見直し、新しいビジネスモデル・事業サービスの構築を目的に始めたデジタル加飾への取り組みについての説明がありました。研文社ではテクニカルブックやプロモーションツールの作成に加え、メルマガやSNS、営業活動を通してデジタル加飾の普及活動を続けています。

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その結果、2022年度全日本DM大賞に入選した三井住友信託銀行エンゲージメント向上DMや、株式会社新興出版社啓林館イベント来場者ノベルティ、また女子美術大学の大学グッズ等、大変ユニークで印刷物の持つ価値を更に高める数多くのお仕事受注に繋がりました。これら多くの事例紹介がありました。

SCODIXのデジタル加飾ソリューションと事例

(有)ゲイン 杉山氏から、デジタル加飾ソルーションのパイオニアで世界的マーケットリーダーSCODIX社の紹介がありました。Ultra1000シリーズは外注している加飾工程を内省化し、また既に内省している場合はアナログ機械(シルクスクリーン機、箔押し機、キャスト&キュア等)をデジタル化し、一つのマシンにまとめるよう開発されたシステムです。ターゲットのお客様は商業印刷、紙器パッケージ、コンバーター、W2P、W2Pack等です。欧米では複数台のSCODIXを導入しパッケージにバリアブルの加飾を施してケースもあります。国内では印刷通販や出版印刷、表面加工やブランドでSCODIXを活用したプレミアム企画が商品化され流通しています。

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SCODIXを使った商品開発

(株)将之介商店 杉山氏からSCODIXで製造し、実際に販売されている各種商品の紹介がありました。

その一つにスカイツリーの戦国魂で販売している「金塗り墨絵葉書」があります。絵葉書としては高額な販売価格一枚500円です。デジタル加飾は無版でいろいろなデザインができますが、大量生産に比べ一枚当たりのコストは高くなるので販売価格を上げないと商売として成り立たないという課題がありました。

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このハードルを乗り越えるために、一般的な絵葉書というより、額装すると部屋に飾れるプチアートとして買う、という概念に変えてお客様に高く買って頂く戦略をとっています。

8種類から販売をスタートし、現在40種類、累計で2万枚を販売しました。無版のデジタル印刷・デジタル加飾の強みを活かし、デザインの幅を広げて選択肢を増やし、その中から売れ筋のデザインを残すことで、単価としては高いがマニアの収集対象となる商品とすることで成功した事例です。

SCODIXユーザー事例:白山印刷(株)

白山印刷(株)は半裁ベースのオフセット印刷とデジタル厚盛加飾を組み合わせたサービスを、Digi Poco(デジ・ポコ)というブランド゙で展開しています。Digi Pocoを使った印刷は高級感を増し、付加価値を高めることができます。メリットは無版で作れるので版代、型代が不要であること、試作からパターン出しが可能なこと、またその場で確認と修正が可能ことなどです。一方、コストや納期等で大量生産には向かない為、白山印刷では従来手法とDigi Pocoと比較し、お客様にとって有利な方を選んで提案しています。

加飾技術の紹介:複数回通し工程

白山印刷はSCODICのデザインアワード2021を4作品で受賞しました。白山印刷(株)の田辺氏からその中のKanamono Art Deep Seaを例に、驚くほど精巧で卓越した作品の製造工程の説明がありました。

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Kanamono Art Deep Sea:全8工程

① 黒い紙に白を印刷、② 印刷をする、③ 金箔を貼る、④ 銀箔を貼る、⑤ 銅箔を貼る、⑥ ニスを塗る、⑦ ホログラムを貼る、⑧ 別のホログラムを貼る、

拘りのあるデザイナーさんの要望に全力で応えた作品です。デジタル加飾の強みを活かして各工程毎になんパターンか作成し、その中から一番いいものを選んでデザイナーのイメージに合う作品に仕上げました。

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このオンラインセミナーには40社程が参加し、日本国内でのデジタル加飾の認知度向上と理解を深める大変良い機会となりました。

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For more info http://www.mgi-fr.com