デジタルプリント加飾の魔法 – ユーザーストーリーその2

2023-07-26 :デジタル加飾業界情報(The JETforce 記事引用)

デジタル加飾制作システムを導入し、顧客の獲得に成功した米国の印刷サービスプロバイダー3社に話を聞きました。そのユーザーストーリーの後半をレポートします。

トゥルーリー・エンゲージング(Truly Engaging)社、米国ミネソタ州

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デビッド・ベアード氏、トゥルーリー・エンゲージング社社長

デジタル加飾の次のサクセスストーリーは、ミネソタ州アーデンミルズのトゥルーリー・エンゲージング社です。このオンライン総合ステーショナリー店は、B2CおよびB2B向けにユニークなメッセージ入りのパーソナライズド製品を提供しています。マグネット、カード、その他のステーショナリーをデザイン、製造しています。1991年に設立された同社は、当初はマグネット・ストリート社と呼ばれ、現在はデビッド・ベアード社長が経営しています。印刷を社内で行えるほど規模が大きくなってからは、最初からデジタル印刷を導入しました。現在の印刷機には、HP Indigo 12000とゼロックス iGen4 Diamond Editionがあります。

「当初、不動産市場が活況を呈していました。私たちは、スケジュール・マグネットやあらゆる種類の大ロット・マグネットを作ることから始めました。その後、私たちは本当の小ロット・マグネットを制作する方法を考え出しました。インターネットと呼ばれるものが存在する前に、私たちは直接販売していました」。

「突然、小ロット生産などのあらゆることができるようになり、その後インターネットが登場しました。SEO(検索エンジン最適化)のスペシャリストを雇ったのですが、おかしな話SEOがなんなのかもしりませんでした。でも、彼は金曜日に私のところに来て、『ねえ、セーブ・ザ・デート(*)って何?』って言ったんです。。私が『全然わからない』と言うと彼は、『セーブ・ザ・デート・マグネットというものをウェブで検索している人がたくさんいるんだ』と言うんです。私は『わあ、すごい。でもそれが何なのか全然知らないよ』というと彼は、『それは結婚式用みたいだよ』といいました」。

セーブ・ザ・デート(*):結婚式の招待状を出す前にゲストに送る結婚式の案内状のことです。式の内容などの具体的なことは決まっていないけど「この日に結婚式を挙げるから予定を空けておいて」とお願いをするものです。

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「それで家に帰り、途中でウォルグリーンに立ち寄ったんです。花嫁雑誌を3冊買って、週末はそれを読みあさりました。家族は『おやおや、パパは理性を失ってしまったんだ』って思ったでしょう。でも、ウェディングプランナーの広告とか、そういうものを見ていたら、すごかったんです。それで4、5、6ヶ月のうちに、マグネット・ストリート・ウェディングを立ち上げたんです。そして、爆発的に売れました。初年度に7万件の結婚式に関わったと思います」。

「数年後、『トゥルーリー・エンゲージング』というブログを立ち上げ、セーブ・ザ・デートのマグネットから招待状、プログラムまで、結婚式の印刷物一式を手がけるようになりました」。

加飾を加えるのは自然なことでした、とベアード氏は言います。「私たちは常にプロセスを改善しようと考えていました。他に何か面白いものはないかと。デジタル加飾、特に箔に目をつけるようになりました」。

「花嫁は箔が好きでしょ?花嫁はあらゆるものに箔が載っているのが好きなんです。だから、ちょっとごまかして私たちは、お金のかからないスリーク加工をやっていたんです。そして、それで私たちは差別化することができました」。でも、需要が高まるにつれて、ホイルラミネーターは遅すぎるため、スケールアップする方法が問題になりました。多くの研究を行った結果、答えはデジタル インクジェット加飾でした。

トゥルーリー・エンゲージング社は、画面上のプレビューという制約がある中で、加飾をどのように販売したのでしょうか?アレキサンダー社の場合と同様、彼らは潜在顧客の手にサンプルを渡したのです。

「結婚式の方では、文字通り月に何万ものサンプルを送っています。トゥルーリー・エンゲージング社の当初の特徴は、一個だけでも注文ができることでした。詳細を伝えると、数日後に郵送されてくるので、実際に手に取って見ることができるのです」。

「私たちにとって、それは大きな挑戦でした。私たちはウェブ、オンライン、eコマースの会社です。花嫁に信頼してもらう必要があります。だから、私たちはたくさんのサンプル提供を行い、そこから口コミで広がっていきました。花嫁に箔のついていないサンプルを送り、次に箔のついたサンプルを送れば、私たちの勝ちです。箔のあるものを一度でも見て、触ってみると、もう目をそらすことができないんです」。

同じアイデアが、同社の他の主要な垂直市場、特に大学にも適用された、と彼は言いいます。「私たちの大学市場では、加飾の無いサンプル、箔のあるもの、ニスがあるものそれぞれ1枚ずつ送り、私たちが決めるのではなく、あなたが決めてくださいと提案します。予算があれば、100回中99回は箔が勝ち、ニスが勝ちます。ですから、私たちにとってサンプルは本当に、本当に大事なことなのです」。

設備が整うと、アプリケーションの新しいアイデアが生まれ始めました。ラベルがそのひとつでした。ニスがラベル素材に使えるかどうかはわからなかったのですが、彼らは大学のメーラー用の実際のラベルの仕事でトライアルを行いました。「マスキング・ファイルとニスをすぐにセットアップしたところ、とてもうまくいきました」とベアード氏がいいます。「ニスなしのステッカーはもうほとんど売っていないと思います。それだけでポップになりますし、素晴らしいです。マグネットを作る場合でも、大学のステッカーを作る場合でも、今では 10 回中少なくとも 8 回はニスを塗っています」。

仮に、デジタルニスを使い続けるか、それとも箔を使い続けるか、どちらかを選べと言われたら、それは市場次第だとベアード氏は言います。「ウェディング市場では間違いなく箔です。私たちの消費者市場も間違いなく箔です。しかし、スポーツ、大学、商業用には、オール箔は高価すぎます。彼らのロゴに素敵な透明なニスを塗ることができ、それは素晴らしいものです。これらの市場では箔を使わず、ニスを使うことが多くなりました」。

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チームコンセプト社、米国イリノイ州

最後のサクセス・ストーリーは、イリノイ州キャロル・ストリームを拠点とするチーム・コンセプト(Team Concept)社からです。同社は主に他の印刷会社にサービスを提供する印刷後加工業者ですが、代理店、デザイナー、印刷ブローカーとも仕事をしています。リソ印刷機とデジタル印刷機の両方、さまざまな仕上げ・製本設備、メーリング設備を備えています。標準的な製品には、ステーショナリー、グリーティングカード、メーラー、小冊子、箱、パッケージ、サイン、バナー、フォルダー、カードホルダーなどがあります。

チームコンセプト社は現在、サーモグラフィー、伝統的なエンボス加工、デボス加工、デジタルエンボス加工付きデジタルスポットUVニス、ラミネート箔(「スリーキング」)、ブックエッジ装飾などの加飾を行っています。2018年、同社はMGI JetVarnish 3DデジタルUVインクジェット(盛り上がったイメージングとiFoil箔押しユニット付き)を導入しました。そしてこれらのサービスをカバーするためにLUXfxというブランド名を使用しています。

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トニー・ラウス氏、チームコンセプト社CEO

創業者でありCEOでもあるオーナーのトニー・ラウス氏に話を聞きました。彼は印刷業界でキャリアを積んだ後、1998年にチームコンセプト社を設立しました。デジタルの加飾は、物理的なスタンピングから自然に生まれたものだと彼は言いいます。

「私たちはいつも箔押しやエンボス加工をしていました。クルージでやっていました。98年に始めて、最初のKlugeを手に入れたのは2000年頃だったと思います」。

「RFQ(見積依頼書)を送ってくる人たちから、市場の変化を見ることができます。もし私たちがそのような依頼に応じられなかったり、何か違うものを見たりした場合、私たちの見積もり担当者はちょっとしたメモを作り始めます。例えば過去6ヶ月の間に12回このような依頼を受けたが、私たちにはできないことだとメモを残します。そして、これを見るチームがあって、これは私たちが学ぶべきことだと進言するのです」。

デジタル加飾が登場すると、要求が変わり始めました。「そのような加飾のRFQは、私たちが行っていたKlugeの箔押しやエンボス加工とは異なるものでした」。

加飾を拡大することは、顧客のニーズへの論理的な対応だった、と彼は言います。「私たちがここで行っていることはすべて、クライアントが必要としていることに応え、より多くの印刷を推進するためです。だから、デジタル加飾を導入するのは自然なことでした。なぜなら、それがその 1 つのニーズを探していた一部のクライアントに私たちへの扉を開いたからです。そしてたとえ、それは彼らが私たちに送ってきた仕事のごく一部にすぎなくとも、それでも他の人にはやってほしくないことでした。そこで私たちは、一歩進んでそれに応えることができるようにする必要があると考えました」。

チームコンセプト社は、デジタル加飾が導入された後、それをプロモートするために別のアプローチを取る必要があったとラウズ氏は言います。 「市場教育が大変でした。なぜなら、私たちは印刷後加工業者であるため、多くの場合、その中間にいるクライアント(印刷業者)に、エンドユーザーに、これは新しいもので、検討してみてはいかがでしょうか、と伝えてもらう必要があったからです」。

「エンドユーザーがそれを見て、そうだ、これは私のマーケティング資料やメーラーに載せて、他のものとは違うものにしたい、と思ってもらえるようにする必要があるのです」。

「ソーシャルメディアを大いに活用しています。それでデジタル加飾を紹介して、みんなにシェアしてもらっています。そうすることで、『うちのプロジェクトで使いたいんだけど 』と言ってくれる人が多くなりました」。

この取り組みの一部は、デジタル加飾にブランド名を与えることでした。「自分が他の人と違うようにする必要があります。その為に名前を考えました」。「それでLUXfxというブランド名を開発しました。以前は標準の仕事でしたが、今ではグリッターやサーモグラフィー、あるいは香りのついたインクを使ったり、さまざまな加飾を施すために作品に加えるものは、すべてLUXfxの傘下に入れています」。

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では、1つだけ残すとしたら、箔ですかニスですか?「ディメンジョンニス(立体ニス)です。箔は大好きだし、いつも使っていますが、ディメンジョナル・ニスでできることは、作品を本当に輝かせることだと思います。私たちは、今でも本当に素晴らしい箔製品を作る方法は持っていますが、何かを本当に際立たせることができるディメンジョナル・ニスのようなものはありません」。

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