センサリー印刷:輝きを放つパッケージ
2022-06-15 :センサリー印刷紹介記事(PackagingImpressions 2022/4記事引用)
様々なデジタル加飾技術が使われ始め、感性に訴えるセンサリー印刷を活用したパッケージが注目されています。それらの例を紹介します。
消費者向けブランドにとって、夢のようなシナリオ
近所のスーパーで通路を歩いているとします。色とりどりのパッケージが並ぶ通路を歩いていると、ある商品が目に飛び込んできます。光に照らされ、思わず手に取ってしまう・・。これは、消費者向けブランドにとって、夢のようなシナリオです。
米国LSINC社のセールス&マーケティングディレクターであるシドニー・ウィリス氏は、消費者が棚から商品を手に取って触れば、カートに入れる可能性が高くなり、ひいては購買を完了する可能性が高くなると説明します。
「店頭で商品に触れた人は、その商品を所有していると認識するのです」。「ラベルであれ箱であれ、UV加工のような装飾は平面的な印刷物とは異なる次元で消費者を惹きつけます」。
パッケージングに装飾を施すことで、ブランドが消費者に様々なレベルでアピールできることは周知の事実です。箔押し、メタリックインク、エンボス、デボス、型抜き、特殊な基材の使用など、ブランドが店頭で与えるインパクトを高めるチャンスは数多くあります。消費者が店内に足を踏み入れたとき、まずパッケージの視覚的な側面で迎えられます。何らかの視覚的、触覚的な要素を強化することで、ブランドはそのインパクトを増幅させることができるのです。では、実際にどのようなメリットがあり、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。第一のメリットは、顧客が求めるサービスを提供することで、競争に勝ち残り、収益を上げることができることです。
収益を押し上げる加飾加工
すべての経営判断が顧客の需要に左右されるわけではありませんが、ケンタッキー州ルイビルに本社を置くラベル印刷会社Label Specialties社のジェニー・ジョンソン・ウルフ氏は、顧客が加飾サービスを求めているのであれば、そのニーズに応えるために適切なテクノロジーに投資することが賢明であると提案しています。
「クライアントが望んでいることで、それを提供できるのなら、どうすればいいかを考えたほうがいい」と彼女は言います。「それが、私たちにとっての “加飾”なのです」。
Label Specialties社は2020年初頭に米国で初めてクルツ社DM-Jetlinerデジタルコールドフォイル装置を追加し、収益の柱としました。同装置は同社のHP Indigo 6900とインラインで使用されています。
この技術を加えることで、「特に小ロットで、より高級なルック&フィールを求めるブランドに対して、より多くのラベルを販売することができるようになりました。そのため、1万枚を切るような作品で、多くの作品をポートフォリオに加えることができています。」。
印刷需要の変化により、加飾を施す機会も増え、特に提供する商品を多様化し、収益源を増やすことができるようになりました、とウィリス氏は説明します。
「ここ10~15年の間に、企業のマーケティング部門が印刷する案件は減少しています。それでも印刷されるのは、より特別なもので、何らかの加飾が施されていることが多いのです」と彼女は言います。
パーソナライゼーションとカスタマイズは、大きく広がっています。例えば、Direct-to-Object (立体曲面への直接印刷)などの技術でワインボトルやタンブラーをパーソナライズできる印刷業者にとって、「数年前でも考えられなかったような収益源を追加できる」とウィリス氏は言っています。
「大型オフセット印刷機の仕事の一部を失った印刷会社は、デジタル印刷機やインクジェット印刷によって、その一部を取り戻すことができるかもしれません。今まで考えもしなかったことですが、direct-to-object技術でさらに収益を上げることができるようになりました。
デザインについて考える
マサチューセッツ州チコピーに本社を置くAM Packaging社の社長、ジェイミー・メドウズ氏にとって、より多くの加飾に移行する理由は「明白」だが、重視しなければならないことのひとつはデザインだといっています。
「パッケージのドレスアップには、加飾が重要です」と彼は言っています。「グラフィックや加飾によって、製品やパッケージは競合他社品から目立たせることができるのです」。
しかし、加飾の世界では、デザインとプリプレスが大きな意味を持つようになります。
メドウズ氏は、「デザインは非常に重要な要素です。部分ニスコーティングを施しても、適切なグラフィックが伴わなければ、箱を目立させる効果が発揮できません」。
エンボス加工やデボス加工と同じことだと説明します。パッケージのデザインが良くないと、うまく目立させることができないんです。
「加飾は重要ですが、デザインもアートワークも同じくらい重要だと思います」。
コニカミノルタMGI JETvarnish 3DS & iFoilとゼロックスIridesseの両方を使用して加飾を行っているオンタリオ州オークヴィルのプリントパンサーダイレクト社の社長兼共同経営者のクリスティーン・ヤードリー氏は、「しかしながら、ほとんどの印刷業者にとってデザインは必ずしも最初に思いつくものではありません」と言います。
「デザインはとても重要です」と彼女は言います。「まずは良いデザインを作成し、そこからスタートすべきなのですが、多くの印刷会社はここでつまずきます。印刷会社はクライアントから与えられたデザインをそのまま印刷してしまうのです。紙にインクを塗る以上のものでなければならないのです。
印刷物に加飾を施したり、パーソナライズすることで、顧客維持率やエンゲージメントが非常に高くなることは、研究によって証明されています」。
「希望する効果に応じて、ファイルを準備する正しい方法を学んだり、クライアントのファイルの準備を手伝ったりすることで、クライアントの希望やイメージ通りの仕上がりにすることができます。デジタル加飾を扱う場合、強力なプリプレス部門は大きな戦力となります」。
ヤードリー氏は、「印刷物は、企業が誰であるか、何を売ろうとしているか、あるいは製品が何であるかを示すものであり、そのブランドを強化するものです」と言っています。
「加飾を施したパッケージは、品質の良さを想起させます。印刷物を格上げするのはもちろんですが、箱の中に入っている製品のクオリティを感じさせるのです。かつてはラグジュアリーブランドにしかできなかったことですが、今はすべてのブランドがそれをある程度実現できるようになりました」。
スタイリッシュで機能的
パッケージは見た目が良いだけでなく、機能的であるべきです。
「私はいつも、ラベルは印刷物の一部であり、担うべき仕事があると言っています」とウルフ氏は言います。「見た目がきれいなだけではダメなんです。寒くても、濡れても、暑くても、くっつかなければならない。それが一番大事なことですが、それができて、かつ見た目がよければ、特別なものになります。そして、加飾はラベルに “輝き “と “高級感 “をもたらしま
その機能性の一部は、製品やアイテムがパッケージで伝えようとしているメッセージでもあるのです。ヤードリー氏は、印刷物は、企業が誰であるか、何を売ろうとしているか、あるいは製品が何であるかをプレゼンテーションするものだと説明します。
「人々はそのように考えていないかもしれません」とヤードリーは説明します。「加飾された印刷物は、上質感を与えます。プリントの高級感もありますが、箱の中に入っている製品へも高級感を与えます。以前は高級ブランドだけができたことですが、中身が高級品であることを瞬時に伝えることができるのです。そして今は誰でもそれができるんです」。
メドウズ氏は、多くの消費者がパッケージの二酸化炭素排出量に関心を持っていることから、加飾印刷のサステナビリティの側面についても考えてみることを提案します。
「FSC認証の板材を使った銘柄もあり、これは今の私たちのハウスストックになっています」。
メドウズ氏は、ヘイゼンペーパー社の顧客として、環境に配慮した100%リサイクル可能なオプションがあることを説明します。
「ヘイゼンペーパーは、本当にプレミアムなメタリック用紙製品を持っています 」と彼は言います。「従来はフィルムが貼られていて、環境にやさしくなかったのですが、彼らは同じ外観、感触、効果を与える方法を見つけ、フィルムという側面を取り除きました。だから、サステナブルでリサイクルも可能なのです」。
無限の可能性
AMパッケージング社の持続可能な装飾の最も顕著な例のひとつは、同社がフィンランドのジン会社のために制作した高級酒類の箱だと、メドウズ氏は言います。このカートンには、箔押しと特殊なグラフィックが施されていました。この箱はオーロラを模してデザインされ、消費者が手に持って箱を動かすと、箱の表面が変化して見えるようになっています。
「過去数年間はフィルムが貼られていたはずです」と彼はいいます。「しかし、今回採用した新技術により、100%リサイクル可能になりました。FSCボードに印刷し、独自のメタライズ技術を使っています」。
Print Panther Direct社は、デジタル加飾機の能力であるプロトタイピングや特殊パッケージングを多く行っています。ヤードリー氏が語る一例は、イリデッセ印刷機で製作した高級チョコレートボックスのサンプルです。このデザインには、ゴールドのディテールを持つ赤いイラストが含まれていました。Print Panther Direct社は当初、このゴールドを箔押ししていましたが、箔は不透明であるため、デザインに必要なイメージや鮮明さが損なわれてしまいました。
「メタリックインクとピンクの蛍光色の下地を混ぜたものをイリデッセに載せると、この素晴らしい半透明のロージーゴールドに変身し、すべての鮮明さが保たれました」と彼女は言います。
でも時には、シンプルな仕事が一番いいこともあります。KM MGI JETvarnish 3DS & iFoilで完成したヤードリー氏のお気に入りの仕事は、ハチミツブランドのラベル制作でした。
「ローハニー は職人が作るハチミツで、ブランドは品質にこだわっています」と彼女はいいます。「ラベルはソフトなタッチで、黒に白、そしてボールド文字でマットな金箔のロゴです。箔押しで大切なことは、シンプルであることです。箔を多用しないことです」。
ウルフが指摘するLabel Specialties社のデジタルコールドフォイル装置DM-Jetlinerの利点の1つは、色の選択肢がほぼ無限にあることで、これはクライアントに大きな好評を博しています。
「何色でもオーバープリントできます」と彼女はいいます。「だから、コールドフォイルの色は無限にあるんです。CMYK値を含むアートスウォッチを送ってもらい、そのCMYK値を印刷可能な箔の上にオーバープリントすれば、どんな色でも手に入れることができるのです。だから、みんなに喜ばれているんです」。
ウルフが共有してくれたサンプルのひとつに、同社が顧客に贈ったホリデーキャンドルがあります。キャンドルに個々のクライアントの名前を箔押ししたサンプルです。その時点では、高級ラベルというだけでなく、カスタムギフトラベルという位置づけでした。
加飾を提供するための原動力
まだお客様に加飾を提供していないパッケージ印刷会社は、「目覚める時だ!」とヤードリー氏は言います。
「正直なところ、今日、加飾印刷がなくて、コモディティ品しか売っていないのなら、どうしたらいいのかわかりません」。「私は、これを未来だと考えています。携帯電話の巨大さを覚えていますか?今は小型の携帯電話になっています。私にとって、加飾された印刷物は、それくらい偉大なものなのです。将来、普通の紙にインクを塗るだけというのは、無くなると思います」。
新しいサービスを追加することの意味として、提供するサービスやワークフローが複雑化する可能性があることが挙げられます。
「ある意味、選択肢が多すぎて複雑さが増しています」とウルフ氏は言う。ラベルの世界では、さまざまな方法で “ピカピカ “を実現することができます。これはそのひとつに過ぎません。そのため、より多くのサンプル作成を行い、ラベルにこれを加えたらどうなるかを紹介するようになりました。…それが、私たちの複雑さを増したのです」。
AM Packaging社は、品質とタイミングの観点から仕事の結果をコントロールできることを好むため、エンボス加工や箔押し加工などを社内で行い、従業員が仕事を適切にこなせるようにすることが不可欠だった、とメドウズ氏は説明します。
「20〜40年前と比べると、印刷会社やパッケージング会社が少なくなり、業界も大きく変わったので経験者を探すのも大変です。だから、私たちは社内で訓練しているのですが、それには時間がかかります」。
パッケージ印刷会社がブランド体験を高めるために、どの加飾機器に投資して提供することにしても、それが需要のあるサービスであることが重要です。
「トレンドというか、ファッションのようなものです」とウルフ氏は言います。「来年も5年後も、加飾は流行り続けるのでしょうか?私は水晶玉を持っていませんが、今言えるのは……加飾は今注目されている、ということです」。
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