米国ブルーオーシャン社のオペレーター兼デザイナーのマット・レッドベア氏に創造力の秘訣を聞きました。

2022-05-12 :MGI事例紹介(JETforce Episode 2022年引用)

南フロリダにあるブルーオーシャン社のJETvernishオペレーター兼デザイナーのマット・レッドベア氏にデジタル加飾を駆使した創造力の秘訣を聞きました。オペレーターさん&デザイナーさん必見です。

ブルーオーシャン印刷社Blue Ocean Press概要

所在地:米国フロリダ州フォートローダーデール

業種: 商業印刷

設立: 1984年

従業員: 46人

売上:   13億円

MGI JETvarnish 3DS設置: 2019年

Matt Redbear氏紹介7

JETvarnish ジェダイ:マット・レッドベア氏

今回のJETforce Chatsでは、Blue Ocean Pressのマット・レッドベアさんにお話を伺いました。マットさんは、昼間はJETvarnishの3Dマシンオペレーターで、夜はクリエイティブなデザインオタクです。この業界に入ったきっかけ、クリエイティブなものへの愛、そしてこの分野で仕事を始めようとしている人たちへのアドバイスについて話をしました。

[ 以下Jetforce Chatの日本語訳です。この内容のオリジナルはこちらを参照ください ]

マット氏:私はオペレーターであると同時にデザイナーでもあるので、オーナーは私をJETvernish担当として採用しました。

そこで、私はJETvernishについて、できる限りのことを学び始めたのです。当時は情報が少なかったので、情報収集とビデオ撮影を始めました。それがきっかけで、加飾の世界、特にデジタル加飾の世界に興味を持つようになりました。

Matt Redbear氏紹介1

従来加飾の経験もありますが、これは新しい技術で、「すごい!」と思いました。 印刷物で見ると、とても表現しきれません。見てもらわなければなりません。実際に見て、触って、感じなければならないのです。私はとても感動しました。私は迷うことなく、マシンが現れる前から、ここに入って仕事を始めようと思いました。

ケビン氏: この種の技術に関して成功するかどうかは、ハンドルを握る優秀な人材が決め手になると思います。あなたはブルーオーシャンの中でもトップクラスの営業マンだと思いますが、それは何をいつ見せるべきかを心得ているからでしょうか?

マット氏:私は営業に介入することが多いですね。営業マンというより、営業スタッフの補佐です。というのも、彼らは皆、自分の頭の中にあるアイデアを実現しようとするのですが、この新しいテクノロジーが登場する前のやり方で考えていました。私はそのような考え方はやめて新しい技術をこれから先の未来に適用する必要があると伝えています。

ケビン氏:ここで、あなたに質問です。私が本当にクールなものを作りたいとき、あなたが作ってくれたあの素晴らしいノートのように、私は一度も失望したことがありません。 営業スタッフやお客さんはあなたが以前素晴らしい仕事をしたことを知っていて、「マット、またやってくれ」という度に、どうやっていいものを作り続けることができるのですか。

マット氏:そうですね、私が望むほどいつもいいものにはできませんが。ただニスを塗っただけの二次元の製品ではなく、三次元の視点から物事を見ることができるようにすることを心がけています。それが、現在進行中の私の最大の課題のひとつであることは間違いありません。 意外なことに、思ったよりもきれいに仕上がるんです。ただ、次のレベルに持っていくことは可能です。 必ず方法はあるのです。

お客さんは、自分たちがデザインしたとおりのものを気に入ってくれて、自分たちがやりたいように重ねられるだけの十分な情報と教養を身につけてくれています。

デザイナーへのアドバイス

ケビン氏: それはおそらく、あなたがこれまでやってきたことの結果でしょう。デザイナーを教育することで、彼らはどのようにデザインすればよいかを理解し、かなりパッケージ化されたデザインを手に入れ始めています。JETvernishのためにデザインするデザイナーに、何かアドバイスがあれば教えてください。どんなアドバイスがありますか?

マット氏: 既成概念にとらわれないことです。つまり、もしあなたがすでにこの素晴らしい方法でやっていて、人々がそれをとても気に入っているのなら、その方法を続ければいいのです。 それがあなたのブランドであり、あなたのアイデアなのですから。でも、フォトショップのことは少し知っておいたほうがいい。 イラストレーターのことも少しはわかるようになった方がいい。レイヤーやマスクを使いこなし、より専門的な知識を得ることで、自分にはないと思っていた新しい可能性を見出すことができるようになると思います。

ケビン氏:ほとんどのデザイナーはレイヤーやフォトショップを知っていると思いますが、おそらく彼らがぶつかる問題のひとつは、スクリーンで見たものが必ずしも紙の上に表示されるとは限らないということで、これも試行錯誤だと思います。何がどう変換されるのかを理解することが必要です。

用紙の理解

マット氏:試行錯誤や経験というほどでもないのですが、その基材が何をしようとしているのか、その先を考えようとすることです。ダインレベルや表面活性度、ラミネート加工、ニスの塗り方などです。 お客さんがやってきて、この上に73ミクロンのニスを塗りたいんだけど、細線が再現できず見栄えが悪くなるし、文字の穴が埋まってしまって、塊みたいになってしまうから、厚みを少し下げた方がいいかと言うんです。これを回避する方法はあります。ニスを少なめにして、2回ほど機械にかければいいんです。つまり、インクジェットプリントヘッドを1列にして、その列のみを使うのです。そうすると、ニスの線がより細く、よりタイトになります。でも基材によってはそのニスが乗る基材にニスが浸みこんでしまい、どうしようもない状態になることもあります。

ケビン氏: それは、あなたが経験したこと、そしてあなた自身で多くの実験をしたことのように聞こえます。 早速ですが、いくつか質問させてください。お気に入りのラミネートは何ですか?

マット氏:ソフトタッチのポイント3ミル。

ケビン氏: 好きな紙?

マット氏: 普段使いのFuturaでしたが、もう作っていないんです。 サプライチェーンの問題です。だから、Pro Digitalに移行しました。

ケビン氏:JETvernishのお気に入りのホイルは何ですか?

マット氏:お気に入りはたくさんあります。 でも、シルバーのホログラム箔を使ったものなら何でもいいんです。私にとっては、まさに驚きです。このホログラムは光を反射して、とても美しいんです。箔の下にニスを塗ると、箔のテクスチャーによって、エッジや表面のさまざまな角度から光を拾います。

Matt Redbear氏紹介2

そして、ありきたりですが、金箔を使えば失敗することはありません。金箔は何にでも使えますが、例えば、この作品はこんな感じです。最初は左側のデザインで、最終的には右側のような感じになりました。

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ケビン氏:もしマジックで望みがかなうとしたら、提供するものの中に何を追加しますか?あったらいいなと思うものは何ですか?

ラグジュアリー市場の好み

マット:白い箔がほしいですね?まだ、テスト段階のものを見ましたが白いホイルは好きです。。また、黒箔のような顔料箔もいいですね。 私は、黒い原紙に黒い箔を使っています。 原紙はマット仕上げ、箔はグロス仕上げです。この箔をある角度から見ると、シアン色が少し映り込むんです。もう一方の角度から見ると、マゼンタが少し映り込む。この2つの視点から、黒の中に色の遊びが生まれるのです。

マット氏:私も、このテクノロジーに関しては、”LESS IS MORE”(少ない方がもっと良い)と常々言っているのですが、あなたがいろいろな挑戦を恐れないところが好きです。黒に黒を重ねるというのは、退屈なアイデアに聞こえるかもしれませんが、繊細さと、正しい光のもとでの反射の違いが、少なくともこの世界での違いを生み出すのですね。

マット氏:黒地に白、黒地に黒を欲しがっている人たちがいますよね。彼らはハイエンドな顧客です。

ケビン氏:ラグジュアリー市場では、必ずしも私たちのようなキラキラしたゴールドが好まれないようです。明るい光沢のあるゴールドを好まず、もっと落ち着いたゴールドや落ち着いたシルバーを好むのです。ヨーロッパでも、他の地域でも、ハイエンドのお客さまはマットな箔を望んでいます。そのような経験はないのでしょうか?

マット氏:そのようなケースが増えいて、マット調の箔が手に入りにくくなっています。

好奇心と創造力

ケビン氏:もし、同じようなプロフィールを持つ他のJETvernishのオペレーターに質問できるとしたら、どんなことを聞いてみたいですか?

マット氏: まず、オペレーターにはいろんな人がいることをお話ししましょう。ボタンを押すだけの人もいれば、クリエイティブな人もいます。クリエイティブな彼らは本当に機械にのめり込んで、あれこれ調整することを楽しみます。そして、「あれがうまくいかなかった、どうしたらうまくいくだろう?2種類の人がマシンを動かしているのです。私は、あなたがなぜこのようなことをするのか、何があなたを動かすのかに興味があり聞いてみたいのです。というのも、私にとっての喜びは、「これはうまくいかない、どうしたらうまくいくか」ということなんです。私は、この機械に通せるはずのないオフセット用紙に、箔を貼ったりします。多孔質のパーチメントやレイドストックなどです。 フェルトのような多孔質な基材もあります。その場合、デジタル印刷機ですべての紙の上にトナーを塗布します。その上に定着オイルを塗るんです。そして、このマシンの素晴らしいところは、AISと呼ばれる人工知能を搭載したスキャナーです。8ポイントから9ポイントの活字を、羊皮紙のようなオフセット用紙の上に箔を貼って重ねたり、レイドにしたりすることができるのですから、本当に不思議です。このようにまず何かを印刷して、その上に何かを敷いて、ニスを塗るという工程が必要なのですが、そういうことに興味があるんです。

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ケビン氏:超クリエイティブと超科学的が混在することはあまりないのですが、最も喜ばれるのは、世界中の誰もできないようなクレイジーなことを教えてくれる人たちだと思います。御社オーナーのトム氏は、あなたのような好奇心旺盛な人がいてよかったと思うし、あなたは、できないことができるようになるまで挑戦し続けるでしょう。そこに創造性も加わってくると思います。

ケビン氏:超クリエイティブと超科学的が混在することはあまりないのですが、最も喜ばれるのは、世界中の誰もできないようなクレイジーなことを教えてくれる人たちだと思います。御社オーナーのトム氏は、あなたのような好奇心旺盛な人がいてよかったと思うし、あなたは、できないことができるようになるまで挑戦し続けるでしょう。そこに創造性も加わってくると思います。

マット氏: トムもそれを後押ししてくれました。というのも、当初、私はマシンがそのように作られていない、という仕様の考えに縛られていたんです。そのためにセットアップされていないとか、その種の紙は使えないとか。そして、それをできないと言っていたのです。だから、私も同罪なんです。 前職で一緒に働いていた私をここに採用するきっかけとなった人が、そこで私を採用し、「まずやってみろ」と追い詰めたのです。どんなことでも、「できない」と言わないことです。上司を悲しませるだけです。何をするにしても、うまくいかないと思うかもしれない。 でも彼は「まずやってみてから、できないことを証明するんだ」。といってくれました。そして実際にやってみたらうまくいったのです。

ケビン氏: このマシンが入ってくる前の数年前のマット・レッドベアーに何かアドバイスをするとしたら、どうしますか?

マット氏:おそらく、完璧である必要はない。できる限りのことをすればいいとアドバイスします。もし助けが必要なら、遠慮なく誰にでも電話しなさい。技術者やインストーラーなど、あなたより上の立場の優秀な人たちが、限られた時間ではありますが、彼らに連絡を取って情報を得ることができます。その当時の私は絶対に完璧でなければいけないと思い続けていました。でも、もしうまくいかなくても、完璧である必要はないんです。やってみるといろんな可能性が広がります。

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