デジタル加飾のスイートスポットを見つける

2022-07-14 :デジタル加飾トレンド情報(2020年PostPress記事引用)

デジタル加飾で何ができるのか、どのような用途が最適なのかを米国の顧客インタビューをもとにレポートします。

Foil Cheat Sheet(箔の早見表)

今日、私たちの多くは、印刷市場におけるデジタル加飾プロセスについて知っています。しかし、これらのプロセスで何ができるのか、どのような用途が最適なのかについては、まだ混乱があります。さらに混乱に拍車をかけているのは、作業の種類やレベルに応じて、さまざまなデジタルマシンが提供されていることです。

デジタル加飾の中でもデジタル箔について議論する際には、さらに混乱が生じます。Sabine Lenz(PaperSpecs)とFoil & Specialty Effects Association(FSEA)との提携により、メタリック箔加飾プロセスの種類を詳述し、それぞれの利点と欠点を説明する新しいガイドが作成されました。Foil Cheat Sheet(箔の早見表)には、箔押し、コールドフォイル転写、トナー系接着剤によるデジタルフォイル、ポリマー系接着剤によるデジタルフォイル、および箔ラミネート基材の使用に関する詳細情報が記載されています。

デジタル箔・スポットニスコーティングへの挑戦

いくつかの企業ではデジタル加飾機への投資に踏み切り、部分厚盛UVニスとデジタル箔を1台の機械で提供し、成長するデジタル加飾の世界にサービスを拡大しています。

Feiereisen社の社長であるグレッグ オートマン氏は、アイオワ州シーダーラピッズでフルサービスの印刷仕上げ業を営んでいます。彼は、デジタル加飾機を導入した最初の業者の一人で、MGIとコニカミノルタが提供しているMGI JETvarnish 3Dデジタル加飾プレスを2年以上前に購入しました。「MGIのおかげで、私たちはクライアントと協力して、さまざまな加飾オプションの実プルーフをコスト効率よく作成することができるようになりました」とオートマン氏は述べています。「小ロットのビジネスは3倍にも増えました。これらの仕事の多くは、従来のプロセスではコスト的に実現できなかったものです」。

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フェアライゼン社、アイオワ州

カリフォルニア州オレンジにあるPresentation Folder社は、長年にわたり、従来の箔押し、エンボス、UVスポットコーティングを利用して、フォルダーなどのプレゼンテーション製品を製造してきました。

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Presentation Folder社

マーケティングディレクターのアーロン・ターディ氏は、「業界が小ロットでハイエンドな印刷物へとシフトしていく中で、デジタル部分ニスとデジタル箔を導入することは、当社にとって自然な流れでした」と説明します。「顧客に迅速な納期と優れた品質を提供できることが、当社のデジタル加飾機能に箔ユニットを追加することを決定した際の大きな要因でした」。Presentation Folder社は、デジタル箔とスポットコーティング機能を搭載したScodix Ultraデジタル加飾プレスを導入しました。

DMSカラー社(アラバマ州ペラム)も、デジタル印刷にデジタル加飾の機能を追加しました。DMSのパートナーでビジネス開発ディレクターのデービッド・ルーラ氏は、「デジタル印刷による3D箔押しやニスなどの加飾を提供することで、小ロットのパッケージを必要とする顧客が増加していることを実感しています」と述べています。「起業したばかりの企業にとって、デジタル加飾は高価な金型や大量の発注をせずに高級ブランドのイメージ獲得を実現する完璧な方法です」。DMSカラーは、2年以上前にコニカミノルタのMGI JETvarnish 3DSデジタル加飾機を追加しました。

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DMSカラー社
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DMSカラー社

ベストフィットする用途を見つける

デジタル加飾を成功させるためには、その工程に適したアプリケーションを見つけることが重要です。ルーラ氏は、書籍の表紙や招待状、小ロットのカートンなど、デジタル加飾を活用する機会は数多くありますが、その中でも特に成功しているのは、ファインアートプリントにおける特殊な3Dコーティングや3Dフォイルの使用だと説明してくれました。「アーティストが私たちにイラストの印刷を依頼するとき、多くの場合、彼らの頭の中にはあるアイデアがあります」。「そこに当社の専門家チームがいれば、アーティストと協力して、目を見張るような仕上がりにすることができるのです」。

Feierseisen社は、部分ニスやデジタル箔の小ロットから中ロットサイズの印刷は、従来の工程と比較してコスト効率が良いことを発見しました。「スポットUVニスや小面積のフォイルで、細部から中程度のディテールを持つ仕事は、デジタル加飾機にぴったりです」とオートマン氏は述べています。

「デジタル箔が加わったことで、より多くの製品に展開できるようになりました」と、ターディ氏は説明します。「名刺、グリーティングカード、招待状、パンフレット、ポストカードなど、デジタル箔やUV厚盛ニス加工が必要なものが増えています。デジタル箔と特殊ラミネーションの組み合わせで、これらのアイテムを小ロットで生産できるようになったことで、卸売りのお客様にプレミアムでコスト効率の高い製品を提供することができるようになりました」と述べています。

お客様を教育する

Feiereisen社は、MGI JETvarnish 3Dデジタル加飾プレス機を購入した最初の印刷後加工業者の1つです。

デジタル加飾を成功させるには、教育が重要です。この教育は、プロセスを導入する印刷会社/仕上業者と、顧客/クライアントに対する教育という2つの側面から必要とされます。例えば、ある制限を念頭に置かなければなりません。例えば、シートサイズ、使用可能な用紙・基材の種類、このプロセスで使用可能な箔とコーティングの種類には制限があります。

「デジタル箔とデジタルUVニスの工程では、シートの両面に水性コーティング、ニス、プライマーコート、あるいはラミネーションが必要になります」とオートマン氏は付け加えました。「このプロセスは、誰もが見慣れている従来の方法とは大きく異なるため、新しいユーザーには学習曲線が必要です」。

ターディ氏は、デジタルプロセスに関するリソースと教育を提供することが非常に重要であることに同意しました。「私たちは、デジタル箔や厚盛UVニスの注文方法に関する知識を深めてもらうために、アートワークやデザインのリソースを卸売りのお客様に提供することに注力してきました。これには、この新しいプロセスに最適なアートワークを作成する方法も含まれます」と説明しています。また、デジタル箔やUVが印刷物をどのように引き立てるかを示すために、製品サンプルは非常に重要であるとターディ氏は強調しています。

ルーラ氏は、「私たちが変えた戦略の1つは、潜在的な顧客に、デジタル加飾によってブランドが享受できる利益について教育することです」と述べています。「もはや、お客様に見積もりを出すだけではありません。見積もりに加え、この方法がいかにブランド認知を高め、最終的に収益を上げることになるかを示すようにしているのです」。DMS社はこの教育を、ウェブサイト上のブログ記事、ソーシャルメディア上の小ネタ、具体的なケーススタディなど、さまざまなメディアを通じて実施しています。また、近い将来、これらのプラットフォームにビデオコンテンツを追加する予定です。

デジタル加飾を販売する

デジタル加飾の販売促進は、今回紹介した3社が提供する他の種類のサービスや製品に適合しています。「このデジタル加飾サービスの販売プロセスは、従来技術の箔やコーティングを売るのと同じです」とオートマン氏は言っています。「プロセスが新しいので、売るのが簡単な場合もあります」とも述べています。デジタル箔やコーティングは、クリエイターにとって、これまでにないデザインツールになるからです。

ルーラ氏は、デジタルコーティングと箔の販売促進は、DMSにとって自然なステップであると付け加えました。「技術に根ざした印刷会社として、私たちは現状を打破することが大好きです」。

Presentation Folder社は、従来の箔押し、エンボス、従来のスポットUVの販売とプロモーションに慣れているため、デジタル加飾品への拡張は容易なステップでした。「私たちにとって、これは自然な流れであり、厚盛UVニスやデジタル箔のデジタルプロセスの利点が、移行をスムーズにしてくれました」と、ターディ氏は説明しています。

デジタル加飾の限界を認識する

デジタル加飾プロセスですべてが解決するわけではないことを忘れてはいけません。前述したように、厚盛部分ニスとデジタル箔の両方に適した紙の種類には制限があります。このプロセスでは、液状のポリマーをシートに塗布するため、ポリマーを塗布する前にコーティングやラミネーションが施されていることが望ましいとされています。そのため、厚手の非コート紙に箔押しする場合は、伝統的な箔押し加工がより適しています。また、盛り上がった厚盛ニスを使えばエンボスのような外観を作ることができますが、真のマルチレベルエンボスは、型を使った従来のエンボスプロセスが勝っています。最後に、大ロットの場合、従来の箔押しやスクリーンUVコーティングの方が、全体のコストが低くなり、完成までの時間も短くなります。

デジタルインクジェット技術によりもたらされたデジタル加飾の爆発的な増加により、メタリック加飾に多くの注目が集まりました。ホットフォイルスタンピング、コールドフォイル、デジタルフォイル(トナーやポリマー系接着剤)を問わず、素晴らしい印刷結果を得るための加飾の用途を拡大させ、加飾需要を喚起しています。

まとめ

ルーラ氏は、「私たちが生産する製品は、デジタルニスやデジタル箔がなくても作ることができますが、これらの機能は、私たち自身やお客様を差別化する機会を与えてくれました」と結論付けています。

Presentation Folder社ではデジタル箔押しとUVニス加工が加わったことで、新しい顧客が増え、その顧客に対して、型抜き、ラミネート、従来の箔押しやエンボス、その他の仕上げサービスなどの追加サービスを提供できるようになったと、ターディ氏は話してくれました。「これは、この設備を導入し、UVニスやデジタル箔のサービスを提供できるようになったことによる、素晴らしいメリットの1つです」と、ターディ氏は締めくくりました。

Feiereisen社ではデジタル加飾サービスを提供することで、中小規模の仕事で箔やコーティングを提供する際に、競争力のある価格を実現することができました。従来の技術では、これらの中小ロットの仕事は対応できなかったかもしれません。デジタル加飾により、お客様に高品質の印刷加飾プロジェクトを提供する機会が生まれ、コストを抑えながら短納期で仕上げることができるようになりました。

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Feiereisen社

オートマン氏は、「私たちが作成した精巧な作品の中には、従来技術では実現できなかった印刷加飾アプリケーションが含まれており、デジタル加飾がさまざまな可能性を開いています」と締めくくりました。

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