印刷会社が顧客にデジタル加飾を売り込んではいけないとき

2023-11-01 ：デジタル加飾業界情報（Taktiful Blog 記事引用)

デジタル加飾のエキスパートKevin Abergel氏のブログから。どのような場合に加飾を控え、どのような場合に加飾を用いるかを認識することが、加飾プロジェクトの成功と顧客の満足の両方を保証するには重要です。では加飾を控えるべきなのはどんな場合か見ていきましょう。

デジタル加飾は、間違いなく印刷の世界に革命をもたらしました。箔やニスのような触感から、ホログラフィーやセキュリティ機能の革新的な使用まで、デジタル加飾は印刷物に新しい、視覚的に魅惑的な方法で命を吹き込みます。しかし、どのようなツールや技術もそうであるように、万能のソリューションというわけではありません。デジタル加飾を施すことが、印刷会社やクライアントの利益にならない場合もあります。

シンプルさが鍵となるとき

デザインには格言があります： “Less is More（少ない方が効果的）”。この原則はミニマリズムを支持し、シンプルさがより効果的なコミュニケーションにつながることが多いことを示唆しています。クライアントのブランディングやメッセージングがシンプルさやミニマリズムに根ざしている場合、豪華なデジタル加飾の恩恵は受けられないかもしれません。

例えば、アップルのようなブランド。彼らのデザイン理念は、クリーンなライン、落ち着いたカラーパレット、視覚的な乱雑さのなさに大きく傾いています。複雑な箔押しやホログラフィーを取り入れると、この傾向が崩れ、ターゲットユーザーを混乱させたり、疎外したりする可能性があります。

予算が厳しい時

デジタル加飾は、印刷プロジェクトのコストを大幅に引き上げる可能性があります。予算が限られているクライアントにとっては、加飾に投資するよりも、高品質の基本印刷に集中する方が有益かもしれません。印刷会社としては、クライアントの予算の制約を理解し、その範囲内で最高の価値を提供するソリューションを提供することが不可欠です。

超短納期

デジタル加飾を追加すると、生産スケジュールが延びることがよくあります。工程を追加するたびに、セットアップ、校正、品質チェックが必要になり、乾燥や硬化に時間がかかることもあります。納期がタイトなクライアントには、加飾を追加しないストレートプリントを提案するのが最も責任ある方法かもしれません。

デジタルが最適なメディアでない場合

伝統的な加飾技法が、デジタル技法よりもプロジェクトに適している場合があります。活版印刷、エンボス加工、スクリーン印刷などの伝統的な手法には、デジタルでは再現できない独特の品質があります。クライアントがクラシックやヴィンテージのルックを望むなら、これらの伝統的な手法にこだわるのがベストかもしれません。

大量生産

デジタル加飾、特に複雑なものや複数の工程を伴うものは、大量生産では時間とコストがかかります。クライアントが数十万部、数百万部を必要とする場合、デジタル加飾のコストと時間は、法外なものになる可能性があります。

適さない素材

すべての素材がすべての加飾に適しているわけではありません。例えば、薄い紙やコーティングされていない紙は、ある種の箔押し加工の熱や圧力にうまく対応できないかもしれません。クライアントが選んだ素材が、加飾加工に適していない場合は、無理に選ばない方がよいでしょう。

過剰デザインのリスク

デザインには「オーバーデザイン」と呼ばれるリスクがあります。印象的な画像や鮮やかな配色など、強い視覚的要素をすでに持っている作品に加飾を加えると、ごちゃごちゃした印象になったり、圧倒されたりする可能性があります。加飾を「加えることができる」からといって、「加えるべき」ではない場合もあることを覚えておくことが重要です。